異なるデバイス間でシームレスに Web を閲覧する機能

最近、「iOS 版 Chrome で体験するクロスプラットフォームな Web ブラウジング」「OS X 版 Safari レビュー」...と、Web ブラウザに関する記事を書く機会がありました。そのたびに感じたのは、デスクトップ (PC) やモバイル (スマートフォン、タブレット) といった異なる Web 閲覧環境 (デバイス) を持っている (時と場合によって使いわけている) ユーザーにとって、見ている Web ページをデバイス間でシームレスに共有 (同期) させるということが、実は当たり前に可能になっているんだな、ということです。

こういったデバイス間での共有 (同期) 機能は、上記に挙げた記事で触れた Google Chrome や Safari だけでなく、Firefox や Opera にも備わっています。この記事では、まとめ的な意味合いを込めて、各ブラウザの同期機能について、簡単にご紹介したいと思います。

Google Chrome

Google Chrome では、「Chrome にログイン」機能を利用することで、異なるデバイスにインストールされた Chrome ブラウザの間で、ブックマーク、アドレスバー履歴、開いているタブなどを互いに同期させることができます。

具体的な動作イメージとしては、記事「iOS 版 Chrome で体験するクロスプラットフォームな Web ブラウジング」をご覧いただければと思います。また、詳しい設定方法は、Google Chrome ヘルプのサイトにある「Chrome へのログイン」をご参照ください。

Safari

Safari では、「iCloud」機能を利用することで、異なるデバイスにインストールされた Safari ブラウザの間で、ブックマークやリーディングリスト (いわゆる「後で読む」リスト) を互いに同期させることができます。

また、OS X 版 Safari 6 以降 (モバイルの場合 iOS 6 以降) では、 「iCloud タブ」という機能を使って、開いている Web ページ (タブ) の同期もできます。

Firefox

Firefox では、「Firefox Sync」機能を利用することで、異なるデバイスにインストールされた Firefox ブラウザの間で、ブックマーク、履歴、開いているタブなどを同期させることができます。

ちなみに、iOS デバイス (iPhone や iPad) 用には、Firefox が存在しませんが、代わりに Mozilla 純正のアプリ「Firefox Home」をインストールすることによって、PC 側の Firefox で持っているブックマーク、履歴、開いているタブを、iPhone で開くことができます。

Opera

Opera では、「Opera Link」機能を利用することで、異なるデバイスにインストールされた Opera ブラウザの間で、ブックマークや Speed Dial などを同期させることができます。

異なるブラウザ間での同期は?

こうしてみると、異なるデバイス間でシームレスに Web ページを見ることができる同期機能は、今やブラウザの標準仕様と言ってもよさそうです。

ただ、上記でご紹介した例はいずれも、同種のブラウザ間でのみ同期するものばかりです。実際には、それぞれの Web 閲覧環境 (デバイス) で異なる種類のブラウザを使っているユーザーも多いと思うので、理想的には、ブラウザの種類を超えた同期が可能になったら、なお素晴らしいと思います。Web アクセシビリティという面も含めて考えると、支援技術 (スクリーンリーダーなど) と併用可能なブラウザが限られている、という現実もあるので、こういった「制約によってブラウザを自由に選ぶことができないユーザー」への配慮としても、異なる種類のブラウザ間での同期の実現は、意義深いと言えます。

すでに、「IE Sync Pro」や「Chrome Sync Pro」といったアプリもありますが (それぞれ、Internet Explorer や Chrome の履歴やブックマークを iPhone や iPad などで開けるというものです)、リアルタイムに、現在開いている Web ページ (タブ) を同期することまではできません。将来的には、よりスマートなソリューションが (できれば別途アプリやサービスを介在させることなく、直接的でわかりやすい形で) 出てくればいいな...と期待したいと思います。