固有名詞や専門用語、ブランド名の音声読み上げ

読み上げソフトや音声ブラウザを使ってWebサイト(ホームページ)を閲覧していると、特殊な読みかたをする言葉(固有名詞や専門用語、ブランド名など)が、Web制作者/運営者の意図通りではない読みかたをされることがあります。たとえば(お使いのソフトによって異なりますが):

  • 人名で「御手洗さん」は「みたらいさん」とは読まれずに「おてあらいさん」と読まれる。
  • ロックバンド「175R」は「イナゴライダー」とは読まれず「ひゃくななじゅうごアール」と読まれる。
  • 筆者が手がけた久留米の工務店さんのサイトで、ブランド名を「思いで家」としているのですが、正しく「おもいでや」とは読まれず「おもいでいえ」と読まれる。
  • 地震の規模を示す「M5.5」は「マグニチュード5てん5」とは読まれず「エム5てん5」と読まれる。
  • 重さを示す「豚肉100g」は「ぶたにくひゃくグラム」とは読まれず、「ぶたにくひゃくジー」と読まれる。

日本語の本文中に、外国語の言葉が入る場合は、<span lang="(言語の種類)"> とマークアップして言語指定するというワザがあります。たとえば、「リサとガスパール(<span lang="fr"> Gaspard et Lisa</span> )」と表記すると、フランス語表記「Gaspard et Lisa」の部分はフランス語で読み上げられます(もちろん、フランス語の音声合成エンジンがユーザーのパソコンに入っている前提ですが)。しかし、読みかた自体が特殊な言葉の場合、手立てが無いのが現状です。実際に読み上げソフトや音声ブラウザを使っている視覚障害ユーザーも「まあ、こんなもんだろうなあ」と思いながらWebをブラウズしていることでしょう。

正しい読み表記を括弧書きで書く(たとえば「思いで家(おもいでや)」という具合)のも悪くないかもしれませんが、状況によっては冗長になってしまいますね。そこふと思ったのですが、正しい読みかたをマークアップによって直接指定できると、視覚障害者のWeb閲覧の助けになるような気がしたのですが、いかがでしょうか?「<span lang="ja" read="みたらい">御手洗</span>さん」のような感じです(別に<span>要素に固執しているわけではなく、新たな要素名でもよいかもしれませんが)。恐らくどんなに辞書(表記とその読みかたのマッチング精度)が発達しても、たとえば人名ひとつをとってもどんどん読みかたが難しくなっている(参考:明治安田生命の2007年の調査)ような傾向の中、この問題はある意味、永遠の課題のような気がしています。結局のところ、正しい読みかたを意図的にメタ情報として付ける以外、根本的には解決しないのでは?と思います。

こういうアイデアは、W3Cに言えばよいのでしょうか。同じようなことを考えている人は、少なくないと思うのですが...。視覚障害ユーザーの体験談なども、聞いてみたいものですね。