「Google Search」アプリにおける音声によるセマンティック検索
2012年10月31日の Google 公式ブログで「Google's most advanced voice search has arrived on iOS」という記事が公開されました。 iOS 用の「Google Search」アプリがアップデートされ、音声検索がより進化した、というものです。
従来でも、検索クエリを音声で入力する (キーワードを喋るとそれがテキストに変換されて検索クエリになる) ことは可能でしたが、今回のアップデートでは、より自然な発話で、情報探索ができるようになっています。
先の記事「進化するファインダビリティ」で、セマンティック検索 (ユーザーからの意志の伝達に対して、システム側がその「意味」を正しく解釈し、ユーザーが何を求めているかに即して、自然な検索結果を提供するための技術) について触れましたが、これによって、ユーザー側からの自然なコミュニケーション (語句の羅列による検索クエリの入力というよりは対話に近い形) に対して、精度の高いレコメンデーション (おすすめ) やサジェスチョン (提案) が可能になることが期待できます。今回の「Google Search」アプリのアップデートでも、音声検索には Google のセマンティック検索技術である「Knowledge Graph」がフル活用されているそうです。
この Google の音声検索、iOS の音声認識ユーザーインターフェース Siri によく似ていますが、向いている方向は若干違うのかな、という気もします。
- Siri は「内向き」
... デバイス (iPhone や iPad) の内側にあるデータ (インストールされている各アプリ内のデータを含む) から、求められる情報を拾ってくる。 - Google 音声検索は「外向き」
... デバイスの外側 (Google がインデックスしている Web データや、Gmail など非公開でもインターネット上に置いてあるデータ) から、求められる情報を拾ってくる。
「内向き」と「外向き」のどちらがユーザーにとって利便性が高いのかはわかりませんが、最終的には、扱えるデータの豊富さと、データの関係性 (概念体系) の適切さが肝になってくると思います。その意味で、両者の今後 (競争によるお互いの進化) が楽しみです。
なお現時点では、「Google Search」アプリの音声によるセマンティック検索は、日本語対応がなされていないようです。Siri はすでに日本語対応になっているので、こちらも日本語対応が待たれますね。