ウェブユーザビリティとは?
このサイトを始めるにあたり、まず、ウェブユーザビリティとは何か?ということを考えてみたいと思います。「ユーザビリティ (usability)」とは、「use (使う)」+「〜able (〜できる)」(の名詞形) であり、ウェブユーザビリティとはすなわち、「ウェブサイトが快適に使えること」を意味すると言えるでしょう。
ISO 9241-11では、「ユーザビリティ」は以下の通り定義されています。
Extent to which a product can be used by specified users to achieve specified goals with effectiveness, efficiency and satisfaction in a specified context of use.
特定のユーザーが、特定の利用状況の中で、特定のゴールを達成するために、ある製品を (有効性、効率性、満足度を伴って) 利用できる度合い。
- Effectiveness (有効性)
- Accuracy and completeness with which users achieve specified goals (ユーザーが特定のゴールを、どのくらい正確に、完全に達成できたか。)
- Efficiency (効率性)
- Resources expended in relation to the accuracy and completeness with which users achieve goals (ユーザーがゴールを達成するのに、どのくらいの労力が費やされたか。)
- Satisfaction (満足度)
- Freedom from discomfort, and positive attitudes towards the use of the product (製品の利用に際して、不快感は無いか、またユーザーの気持ちは前向きか。)
- Context of use (利用状況)
- Users, tasks, equipment (hardware, software and materials), and the physical and social environments in which a product is used (ユーザー、成すべき仕事、装置 (ハードウェア、ソフトウェア、資材)、および製品が利用される物理的または社会的な環境)
また、ウェブユーザビリティ研究の第一人者とされるヤコブ・ニールセン (Jacob Nielsen) 氏は、著書「ユーザビリティエンジニアリング原論」の中で、ユーザーが望む機能がシステムによって十分満たされている (「ユーティリティ」が担保されている) 状態を前提として、ユーザビリティの構成要素を以下のとおり定義しています。
- 学習しやすさ (Learnability)
- システムは、ユーザがそれを使ってすぐ作業を始められるよう、簡単に学習できるようにしなければならない。
- 効率性 (Efficiency)
- システムは、一度ユーザがそれについて学習すれば、後は高い生産性を上げられるよう、効率的な使用を可能にすべきである。
- 記憶しやすさ (Memorability)
- システムは、不定期利用のユーザがしばらく使わなくても、再び使うときに覚え直さないで使えるよう、覚えやすくしなければならない。
- エラー (Errors)
- システムはエラー発生率を低くし、ユーザがシステム使用中にエラーを起こしにくく、もしエラーが発生しても簡単に回復できるようにしなければならない。また、致命的なエラーが起こってはいけない。
- 主観的満足度 (Satisfaction)
- システムは、ユーザが個人的に満足できるよう、また好きになるよう楽しく利用できるようにしなければならない。
出典 : Wikipedia の「ユーザビリティ」の中の「定義 > ニールセン」
よく見られる誤解として、「ユーザビリティ」を「使いやすさ」と解釈している方が少なくありません。もちろん使いやすいこと (ease of use) はとても大切ですが、それだけではないことに注意する必要があります。上記の ISO 9241-11 の定義にあるように「特定の」ユーザーと「特定の」ゴールが基準となって、有効性 (ゴールは達成可能か) や効率性 (ゴールの達成はスムーズか) のみならず、ユーザーの主観的な満足度も含めて、施策を検討する必要があるのです。
ウェブサイトにおいては、たとえば以下のような要件が満たされている必要があります。
- ユーザーが欲している情報 (コンテンツ) が存在し、ユーザーが自らの課題を解決できること。
- その情報 (コンテンツ) まで迷うことなくスムーズにたどり着けること。
- たどり着いた情報 (コンテンツ) をユーザーが正しく (誤解なく) 理解できること。
- ユーザーが安心して情報 (コンテンツ) を利用できること。
ウェブユーザビリティは、それ自体もはや新しいものではありませんが、ウェブサイトをユーザーにとっての目的達成のための手段と捉えれば、当たり前の必須要件と言えるでしょう。ウェブユーザビリティを向上させるための、評価手法やノウハウについては、追々このサイトの中でご紹介したいと思いますので、どうぞご期待ください。