NVDA のキーボード操作リファレンス
当サイトでは、オープンソースの無料スクリーンリーダー「NVDA」についてたびたび触れています。導入コストがかからず、しかも高機能なので、Web アクセシビリティ検証ツールとしてもおすすめだからです。NVDA の使いかたについては、すでに多くのサイトで紹介されていますが、今回は自分自身の備忘録も兼ねて、Web サイト閲覧時に知っておくとよいキーボード操作をまとめてみました。リファレンスとしてお役に立てれば幸いです。
基本設定
メニューの起動
- [Insert]+[N]
- NVDA メニューを開きます。
矢印キーでメニューを辿り、項目を選択する ([Enter] キーを押す) ことで、各種設定、ツールの起動、ヘルプの利用ができます。
音声、音量、高さ、速さの設定
- [Ctrl]+[Insert]+左右矢印キー
- 変更したいパラメーター (音声の種類、音量、高さ、速さ) を選択します。
- [Ctrl]+[Insert]+上下矢印キー
- 選んだパラメーターの値を設定します。
Web 閲覧時のキーコマンド
「NVDA キー」について
以下のキーコマンドの説明で、[NVDA]という記述がたびたび出てきます。これは「NVDA キー」と呼ばれるものです。実際のキーボードに [NVDA] と刻印されたキーは無いのですが、[Insert] キーがすなわち「NVDA キー」と理解していただければ結構です (たとえば、[NVDA]+[T] は、[Insert] キーと [T] キーを同時に押すことを意味します)。
ただ、[NVDA] は必ずしも [Insert] でなければならないわけではなく、代わりに [無変換] キーを「NVDA キー」とすることも可能です (キー配列の関係で [Insert] は押しにくい...という人は、設定を変えてみるとよいでしょう)。「NVDA キー」の変更は、NVDA メニューの中の「設定」にある「キーボード設定」で可能です。なお、設定画面を見ると [CapsLock] も「NVDA キー」にできそうに見えますが、実際は、日本語キーボードでは [CapsLock] は「NVDA キー」として機能しないようです。
読み上げの停止
- [Ctrl]
- 読み上げを停止します。
現在位置 (とその近辺) の読み上げ
- [NVDA]+下矢印キー
- 現在位置以降を読み上げます。
- [NVDA]+上矢印キー
- 現在位置の行を読み上げます。
- 上下矢印キー
- 現在位置の行/次の行を読み上げます。
- 左右矢印キー
- 現在位置の隣の文字を (一文字ずつ) 読み上げます。
タイトルの読み上げ
- [NVDA]+[T]
- 現在開いている Web ページのタイトル (<title> 要素) を読み上げます。
フォーカス
- [Tab]
- オブジェクト類 (リンクや各フォーム要素) に順にフォーカスを当てます。[Shift] と一緒に押すことで、フォーカスを当てる順序を逆にすることができます。
[Enter] キーを押すと実行します (オブジェクト類のクリックに相当するアクション)。 - [NVDA]+[Tab]
- フォーカスが当たっているオブジェクトを読み上げます。
見出し/ランドマーク関連
- [H]
- 見出し要素にジャンプします。[Shift] と一緒に押すことで、ジャンプする方向を逆にすることができます。
- [1]~[6]
- 特定レベルの見出し要素にジャンプします。[Shift] と一緒に押すことで、ジャンプする方向を逆にすることができます。
- [D]
- ランドマーク (WAI-ARIA Landmark Roles) の先頭にジャンプします。[Shift] と一緒に押すことで、ジャンプする方向を逆にすることができます。
- [NVDA]+[F7]
- 「要素リスト」ダイアログを開きます。種別 (リンク、見出し、ランドマーク) を選び、その中の具体的な項目を選択して [Enter] キーを押すことで、リンク先を開いたり、任意の見出しやランドマークにジャンプすることができます。
フォーム関連
- [F]
- フォームの各要素 (テキストフィールド、チェックボックス、ラジオボタン、コンボボックス、など) にジャンプします。[Shift] と一緒に押すことで、ジャンプする方向を逆にすることができます。
テキストフィールドで実際に文字入力する場合には、ブラウズモードからフォーカスモードに切り替える必要があります。 - [E]
- テキストフィールドにジャンプします。[Shift] と一緒に押すことで、ジャンプする方向を逆にすることができます。
実際に文字入力する場合には、ブラウズモードからフォーカスモードに切り替える必要があります。 - [B]
- ボタンにジャンプします。[Shift] と一緒に押すことで、ジャンプする方向を逆にすることができます。
- [C]
- コンボボックスにジャンプします。[Shift] と一緒に押すことで、ジャンプする方向を逆にすることができます。
- [R]
- ラジオボタンにジャンプします。[Shift] と一緒に押すことで、ジャンプする方向を逆にすることができます。
- [X]
- チェックボックスにジャンプします。[Shift] と一緒に押すことで、ジャンプする方向を逆にすることができます。
リスト (箇条書き) 関連
- [L]
- リスト (<ul>、<ol>、<dl> 要素) にジャンプします。[Shift] と一緒に押すことで、ジャンプする方向を逆にすることができます。
- [I]
- リスト内の各項目 (<ul> および <ol> の <li> 要素、<dl> の <dt> 要素) にジャンプします。[Shift] と一緒に押すことで、ジャンプする方向を逆にすることができます。
リンク関連
- [K]
- リンク (<a> 要素) にジャンプします。[Shift] と一緒に押すことで、ジャンプする方向を逆にすることができます。
- [U]
- 未訪問リンクにジャンプします。[Shift] と一緒に押すことで、ジャンプする方向を逆にすることができます。
- [V]
- 訪問済みリンクにジャンプします。[Shift] と一緒に押すことで、ジャンプする方向を逆にすることができます。
テーブル関連
- [T]
- テーブル (<table> 要素) にジャンプします。[Shift] と一緒に押すことで、ジャンプする方向を逆にすることができます。
下矢印キーを押すと、テーブル内のセルに移動します。テーブル内で [Ctrl]+[Alt]+矢印キー (上下左右) を押すことで、読み上げるセルの移動ができます。
その他の読み上げ位置の移動
- [Control]+[Home]
- ページの先頭にジャンプします。
- [Control]+[End]
- ページの末尾にジャンプします。
- [G]
- 画像 (<img> 要素) にジャンプします。[Shift] と一緒に押すことで、ジャンプする方向を逆にすることができます。
代替テキスト (alt 属性の記述) を読み上げます。 - [O]
- Flashコンテンツなど、埋め込みオブジェクトにジャンプします。
[Enter] キーで Flash コンテンツに入ります。 [Ctrl]+[NVDA]+スペースキーで、Flash コンテンツから抜け出すことができます。 - [Q]
- 引用 (<blockquote> 要素) にジャンプします。[Shift] と一緒に押すことで、ジャンプする方向を逆にすることができます。
ブラウズモードとフォーカスモード
NVDA には、「ブラウズモード」と「フォーカスモード」というふたつのモードがあります。通常、Web サイトを閲覧するときは自動的にブラウズモードになっているので、モードの違いについて意識する必要は特にありません。
一点、注意が必要なのは、フォームのテキストフィールドにフォーカスが当たっているときです。たとえば「h」という文字を入れようとして [H] キーを押すと、文字入力の代わりに次の見出し位置にジャンプしてしまうことがあるかもしれません。これはブラウズモードによる挙動なので、手動でフォーカスモードに切り替える必要があります ([Tab] キーでテキストフィールドにフォーカスしたときは、自動的にフォーカスモードに切り替わるのですが、[F] キーや [E] キーでテキストフィールドにフォーカスしたときはブラウズモードのままなので、こうした問題が起こり得ます)。
ブラウズモードとフォーカスモードの切り替えは、[NVDA]+スペースキーを押すことで可能です。「カシャッ」という高い音がしたらフォーカスモード、「プッ」という低い音がしたらブラウズモード、と覚えておくとよいでしょう。