無意識にダブルクリックしてしまうユーザー

Web サイトの各機能 (リンク、ボタン、チェックボックス、ラジオボタン、セレクトメニューの選択、など...) は基本的にシングルクリック (シングルタップ) で使うものです。ところが、ユーザビリティテストをしていると、クリック対象箇所 (リンクやボタンなど) を無意識的にダブルクリックしてしまう人が少なからずいることに気付かされます。

一般的な PC の OS 操作では、フォルダを開いたりアプリを起動したりなど、対象物を「探す」「実行する」際にダブルクリックが使われます。Web ページ上のリンクやボタンを叩くのも「探す」「実行する」行為の一種と考えれば、ユーザーがダブルクリックしてしまうのもわからないではありません。あるいはもっと単純に、PC 操作の中でダブルクリックとシングルクリックが混在することにややこしさを感じる (あるいは両者の使い分けについてのメンタルモデルが固まっていない) ユーザーが、「大は小を兼ねる」とばかりに「取り敢えずダブルクリック」しているようにも見受けられます。

ダブルクリックが引き起こす問題

実際には、たとえユーザーがダブルクリックしても、多くの場合は大した問題になりません。ページ遷移を伴うリンクやボタンであれば、1回目のクリックでコンテンツの表示が切り替わり、立て続けの2回目のクリックは、クリッカブルでない箇所での「空振り」なクリックになる (つまり2回目のクリックが、ユーザーの予期せぬ結果を引き起こさない) からです。

一方、ページ遷移を伴わない、1回目のクリック後にもボタンがそこに存在し続けるようなユーザーインターフェース (UI) はどうでしょうか。たとえば、アコーディオンメニューのようなコンテンツ表示の開閉、ステータスをトグルで切り替えるボタン、などです。このような UI でも、「開いたはずの情報がまた隠れてしまった」「ボタンを押して On にしたつもりが Off に戻ってしまった」… だから「クリックは1回だけすればいいんだ」という学習ができて、その場ですぐにやり直しができるのであれば、さほど大きな問題にはならないかもしれません。

ただし、ユーザーにとって重要な情報を送信するようなケースで、たとえば、eコマース (ネットショップ) のページで「カートに入れる」ボタンをダブルクリックをすると同一商品が2つカートに入ってしまうようなことがあると問題だと思います。その行為をアンドゥ (undo) しようにもその場ではできず、いったんカートの中身を確認するページに移動してアイテム数を変更する (あるいはアイテムを削除する) 操作をしなければならないので、面倒です。最悪の場合、ユーザー自身がアイテム数の間違いに気づかずに、そのままチェックアウト (決済) してしまう恐れもあります。

ダブルクリックを許容してそのまま受け流すインタラクション

このようなケースに対する対策としては :

...などが考えられます。(もちろん実際には、Web コンテンツが利用されるコンテキストに応じて、よりベターな別の解決方法も考えられると思います。)

Web サイトの閲覧デバイスの多くがタッチインターフェースになってゆくにつれて、このような問題は少なくなってゆくと思いますが、少なくとも現時点でユーザビリティテストをしてみると、ダブルクリックしてしまうユーザーはそれなりにいると感じます。うっかりダブルクリックしても、それを許容してそのまま受け流すようなインタラクションにできれば理想的かなと思います。