ユーザーを苛立たせないフォーム設計の基本

ウェブサイトにおいて、ユーザーにフォームを提示する (情報を入力してもらう) ケースは多々あると思います。その際、フォームの内容が不適切だと、ユーザーは苛立ち、最悪の場合、入力の途中で離脱してしまうことすらあります。

ユーザーを苛立たせないフォームを設計する基本として、どんなことに気をつければよいのか、以下、考えてみたいと思います。

入力項目が必要以上に多くないか?

ユーザーにフォームを提示する際、あれもこれも...とつい多くのことをユーザーに聞いていないでしょうか?必要最小限のことのみを、ユーザーに入力させるようにしましょう。

フォームを通じてユーザーから情報を得るということは、サイト運営側に、何らかの目的があるから、であるはずです。その目的と照らし合わせて各入力項目の必要性や妥当性を検証し、合目的的でない入力項目はフォームから外しましょう。「いつか役立つかもしれないから取り敢えずあれもこれも聞いておこう」という姿勢でユーザーから情報を取るのは、止めるべきです。

入力内容に制約を設けていないか?

フォームに入力してもらう情報について、主にシステム側の都合で、制約を設けていないでしょうか?たとえば以下のような例が挙げられますが、いずれも、ユーザーの立場からすると「理不尽」に見えます。

入力が面倒でないか?

フォームの各項目への入力が、面倒ではないでしょうか?たとえば以下のような例が挙げられます。

これらの「面倒さ」については、たとえばスマートフォンでは文字のタイピングが (PC と比較して) 余計に難しかったりなど、ユーザーの使用端末によって度合いが異なることもあるので、マルチデバイスで検証してみることをおすすめしたいと思います。

そのうえで、入力時の操作を減らす配慮をしたり (可能であればテキストボックスをひとつにまとめる、など)、代替の入力手段を用意したり (セレクトメニューの代わりに選択肢全体が見渡せる形のメニューにする、スライダーには数値表示と直接編集が可能なテキストボックスを隣接させる、など)、自動的な入力補助機能を実装したり (郵便番号を入れたら住所も自動的に入力される、など)、といった具合に「ユーザーが楽になる方法」「ユーザーの誤入力を防ぐ工夫」を積極的に採り入れるようにしましょう。

安心して入力できるか?

個人情報 (センシティブ情報) など、デリケートな内容で心情的に入力しにくい情報を求めていないでしょうか?サイト運営側が提供するサービスの目的上、そのような情報を入力してもらうことがどうしても必要であるならば、フォーム送信内容を暗号化 (SSL) すること、また、技術面だけでなく (人的な) 運用面でも、入力してもらった情報を適正に扱うことが求められます。こうした技術面および運用面での対策を確実に講じると同時に、その旨をプライバシーポリシーとしてユーザーに明示する必要があります。

安心して送信できるか?

ひととおり情報を入力した後に押すサブミットボタンのラベルは、適切でしょうか?そのまま送信されるのか、入力内容の確認画面を開くのか、など、ボタンを押すとどうなるかユーザーが明確に理解できるようにラべリングしましょう。

また、キャンセル (リセット) ボタンがサブミットボタンの隣に配置されているケースを時折見かけます。そこに敢えてキャンセルボタンが存在する意味をユーザーが余計に考えてしまったり、また誤操作でキャンセルボタンを押してしまったり (それによってせっかく入力した情報がすべて消えてしまう)、といったリスクがあるので、不必要なキャンセルボタンは配置しないようにしましょう。

入力エラー対策は適切か?

フォームには入力エラーがつきものです。その前提に立ち、以下のような適切な対策を講じましょう。


以上の基本を意識してフォームの内容を適切にすることで、ユーザーがストレスなく入力を完遂できることが期待できます。さらに、フォームで扱う情報の性質によっては、プラスアルファでできる工夫もいろいろあると思います。フォームはサイトとユーザーとの間の貴重な「コミュニケーションの場」とも言えるので、心地よいユーザーエクスペリエンス (UX) にまで気を配ったフォーム設計ができると、なおよいでしょう。