Instagram の代替テキストの継承

SNS (ソーシャルネットワーキングサービス) では写真投稿が盛んですが、昨今では、視覚障害を持ったユーザー向けの情報保障として、メジャーな SNS のほとんどが、写真投稿に対する代替テキストの入力手段も併せて提供しています。以下、各サービスの公式ヘルプです。

Facebook および Instagram では、AI によって代替テキストが自動生成され (実際には、自動生成がなされなかったり、自動生成されても精度が低かったり...といまひとつな感じではありますが)、それに対して手動で代替テキストを編集する (入れ直す) ことが可能になっている、というスタンスのようです。

私自身は、SNS に投稿する写真は Instagram をマスターにして、それを適宜、他の SNS (Facebook や Twitter) にも併せてシェアする、という運用にしています。その際、Instagram で、写真の代替テキストを手動で入力するようにしています。

Twitter へのシェアは、Instagram の当該写真用に記述したキャプションと URL がタイムラインに投稿される形になります。写真そのものは Twitter のタイムライン上で見ることができませんが、ユーザーはタイムラインにある URL (リンク) をクリックまたはタップして Instagram に遷移することで、当該写真を見ることができる (代替テキストが記述されていれば、スクリーンリーダーでその代替テキストを読み上げることができる) ようになっています。

一方、Facebook へのシェアは、Instagram の当該写真とキャプションがタイムライン / ニュースフィード上に埋め込まれる形になります。ユーザーは Facebook のニュースフィード上で写真そのものを見ることができるので便利ですが、代替テキストについては、Instagram で入力した内容が継承されない、という問題がありました。つまり、Facebook にシェアされた写真に対して、代替テキストの編集をやり直す (Instagram で入力済の代替テキストを Facebook でも再入力する) 必要があり、二度手間になっていたのです。

Facebook と Instagram は同じ会社のサービスなので、いずれはこの問題が解消されて、Instagram で入力した代替テキストがそのまま、Facebook へのシェアにも反映されることを期待していましたが、最近になって、iOS の Instagram アプリで新規投稿した際に、代替テキストが Facebook へのシェアにも継承されるようになっていることに気づきました。

これはとても素晴らしい改善だと思いますが、いろいろ調べてみるとまだ完璧であるとは言えず、新規投稿と同時にシェアする場合と、既存投稿を再シェアする場合とで、Facebook への反映のされかたが異なっていることがわかりました。iOS と Android との間でも、微妙に違いがあります。具体的には、以下の通りです。

iOS (14.6) Instagram → Facebook
  • 新規投稿と同時にシェア ... Instagram の代替テキストが継承され、Facebook にも反映される。
  • 既存投稿の再シェア ... Instagram の代替テキストは継承されない。Facebook が自動で代替テキストを生成したものが適用される。
Android (8.0) Instagram → Facebook
  • 新規投稿と同時にシェア ... Instagram の代替テキストが継承され、Facebook にも反映される。
  • 既存投稿の再シェア ... Instagram の代替テキストは継承されない。Facebook では空の alt が適用される。また、Instagram に遷移するリンクという形で Facebook に投稿される。

このあたりの反映のされかたは、随時チューニングが変わる可能性がありますが、この記事の執筆時点では上記のとおり一貫性のなさが見られており、改善の余地があると言えるでしょう。総じていうと、新規投稿時には問題なく代替テキストは継承されるのですが、既存投稿の再シェアにおいてはまだまだ、という状況です。

iOS か Android か、といったプラットフォームの違いに関わらず、また、新規投稿時のシェアか既存投稿の再シェアか、といったコンテキストの違いに関わらず、Instagram で入力した代替テキストは、Facebook へのシェア時にもそのまま継承され、反映されるようになることを期待したいところです。