「Principles Of Web Accessibility (ウェブアクセシビリティの原則)」日本語訳
Heydon Pickering (ヘイドン・ピカリング) さんがしたためた、「Principles Of Web Accessibility」というノートがあります。ウェブアクセシビリティに取り組むうえでの、原則的な行動指針をまとめたものです。
現実的に、ウェブアクセシビリティの仕事に携わっていると、様々な困難やままならなさと向き合う中で、本質を見失いそうになったり、挫折しそうになったりすることも少なくないでしょう。そんなときに立ち返ってみたい原則が、ヘイドンさんらしい言い回しで記されています。
2025年1月に公開されて、欧米のウェブアクセシビリティコミュニティで話題になったこのノートですが、インフォアクシアの植木さんの声がけで集まった有志によって日本語訳され、このほど公開されました。
各原則の見出しをご紹介すると、以下のとおりです。いずれも興味をそそられるヘッドラインかと思いますので、ぜひ本文も含めて、味わってみていただけたらと思います。
- 完璧主義は敵 (Perfection is the enemy)
- はじめからアクセシブルに、さもなくば死を (By default or death)
- 同等であることが最重要 (Parity is paramount)
- 実装を考慮したデザイン (Design for implementation)
- まずは構造から (Structure first)
- 言葉を大切に (Use your words)
- ツールをペルソナにしてはならない (Tools are not identities)
- 少ないことは、少ないだけ (でもそれでいい) (Less is less)
- 報酬を得よう (Get paid)
- 魚ではなく、釣り方を (Fishing, not fish)
- 見せかけのパフォーマンスに価値なし (No points for performance)
- 悪は腐るに任せよう (Let evil rot)
今回、私も有志の一人として翻訳作業に参加させていただきました (主に「悪は腐るに任せよう」のセクションの翻訳と、全体の相互レビューを行ないました)。ヘイドンさん独特の表現 (少し毒のあるユーモアを含んだ言い回し) が持つ雰囲気を残しつつ、日本語として伝わりやすい翻訳に落とし込む作業は簡単ではありませんでしたが、作業過程の Google ドキュメント上では、日本の読者に「より伝わる」翻訳にしようとブラッシュアップするための熱い議論がそこかしこで交わされ、私自身とても楽しく、また勉強になりました。
このノートが、ウェブアクセシビリティに取り組んでいる (またはこれから取り組もうとしている) 一人でも多くの方に、届いたらいいなと思います。