「WCAG 2.2 解説書」日本語訳
私も招聘専門家として参加しているウェブアクセシビリティ基盤委員会 (WAIC) 翻訳作業部会にて、翻訳作業を進めていた「WCAG 2.2 解説書」の全面的な日本語訳が、このほど公開されました。
「WCAG 2.2 解説書」(原文 : WCAG 2.2 Understanding Docs) は、WCAG (Web Content Accessibility Guidelines) 2.2 (日本語訳) の関連文書で、WCAG で規定されているガイドラインおよび達成基準に関する詳細な解説を (参考情報として) 提供するものです。WCAG がバージョン 2.2 になって新しく追加された達成基準の解説は、先行して日本語訳を実施し公開しておりましたが (参考 : WCAG 2.2 解説書 一部公開のお知らせ | ウェブアクセシビリティ基盤委員会 (WAIC))、今回は、WCAG のバージョン 2.1 以前からある既存のガイドラインおよび達成基準の解説も含めて、全面的に日本語化しています。
既存のガイドラインおよび達成基準の解説は、基本的に旧来の「WCAG 2.1 解説書」からの移植ですが、この機会に翻訳のブラッシュアップも少なからずなされており、より原文の意図に沿った翻訳文書になっていると思います。
旧来の「WCAG 2.1 解説書」にはない「WCAG 2.2 解説書」の特長として特筆すべきは、各達成基準の解説ページに「要約 (In Brief)」というセクションが新設されており、達成基準の「目標 (Goal)」「何をすればよいか (What to do)」「なぜそれが重要か (Why it's important)」が簡潔にイントロダクションとして提示されていることです。今回の「解説書」の全面的な日本語化にあたっては、すべての達成基準において、この「要約」を新たに翻訳しました。WCAG の初学者をはじめ、ウェブアクセシビリティの向上に取り組む様々な立場の皆さんにとって、達成基準の勘所をつかむ一助になれば幸いです。
WCAG の本文 (規定) は、特定のウェブ技術に依存しない記述になっており、それゆえに書きぶりが抽象的で、内容の理解が容易ではないという性質があります。このたび全面的に日本語化された「WCAG 2.2 解説書」を併せ読むことによって、WCAG 2.2 のすべての達成基準の意図、利点、事例、テクニックなどを具体的に学ぶことができますので、ぜひご活用ください。
引き続き、WAIC 翻訳作業部会では、WCAG 2.2 Techniques の翻訳を進め、「WCAG 2.2 テクニック集」として日本語版をお届けできるよう、努めてまいります。