Web ライティングのツボ (その5) : パラレリズム
これまで、「Webライティングのツボ」と題して、Webサイト(ホームページ)のテキストライティングに関するノウハウをご紹介しましたが、今回を入れてあと3回ほど、お付き合いください。今回ご紹介するのは、パラレリズムというテクニックです。
パラレリズム(parallelism)とは、聞き慣れない方もいらっしゃると思いますが、もともとは「平行」(あるいは「並行」)という意味です。テクニカルライティング(技術文書や取扱説明書の書きかたのノウハウ)では、「同じスタイルで書き並べる」という定石テクニックのことを、パラレリズムと呼んでいます。
具体的に、「文章表現のどの部分でパラレリズムを意識すればよいか」というと、以下のようにいろいろあります。
- 見出しの書きかた
- 箇条書きの書きかた
- センテンス(文)や段落の書きかた
また、パラレリズムが意味する「同じスタイル」には、たとえば以下のようなものがあります。
- 体言止めで揃える
- 疑問形で揃える
- 能動態(または受動態)で揃える
ここで簡単な例を見てみましょう(内容的には厳密ではありませんが、あくまでもパラレリズムの例を、わかりやすく示してみました)。
スパゲッティにはどんな種類があるの?
スパゲッティには、つぎのような、様々な種類があります。
- お肉たっぷりで子供に大人気の「ミートソース」
- 玉ねぎ、ハム、ピーマンと具だくさんでなつかしい味の「ナポリタン」
- アサリ風味のサッパリとした味付けの「ボンゴレビアンコ」
スパゲッティはどうゆでればいいの?
つぎの手順で、ゆでてみましょう。
- 鍋に水を入れ、火にかけてください。
数分すると、お湯がわきます。 - 鍋のお湯に、塩を入れてください。
こうすることで、スパゲッティが美味しくゆであがります。 - スパゲッティを、鍋に入れてください。
7分後に、スパゲッティがゆであがります。
ゆでるときの注意点はなに?
- 鍋のお湯には、忘れずに塩を入れましょう。
- あまりゆですぎず、少し固めに(アルデンテ)ゆでましょう。
- ゆで汁は、後でお皿を洗うのに便利なので、捨てないでおきましょう。
いかがでしょうか?上記の例では、以下のようなパラレリズムが盛り込まれています。
- 見出しが疑問形(「?」マークつき)で揃えられている。
- 1つめの見出し項目の下の箇条書きが体言止め(「」で括られたスパゲッティの種類名)で揃えられている。
- 2つめの見出し項目の下の箇条書き(手順)が「〜してください」で揃えられていて、かつ、その結果が「〜します」という形で揃えられている。
- 3つめの見出し項目の下の箇条書きが「〜しましょう」で揃えられている。
このように、パラレリズムを意識することで、文章全体のリズム感が良くなります。また、見出しや箇条書きなどの表現パターンが統一されることで、読み手の頭の中に、その文章をスムーズに読み進めるためのメンタルモデルが形成されやすくなります。その結果、文章が読みやすくなり、誤解なく伝わることが期待できるのです。
(Webライティングのツボ(その6):表記の一貫性へつづく)