バナーブラインドネス

バナーブラインドネス(banner blindness)という言葉をご存知でしょうか?直訳すると「バナーを視認できない」という意味になりますが、より端的に言うと、Webサイト(ホームページ)上のユーザー行動において、「バナー画像がユーザーに無視される」現象を言い表した言葉です。

よく、リンクをバナー画像にするケースがありますよね(あるサイトから、特別なサイトに飛ぶ場合など)。サイト運営側としては、リンクを(テキストではなく)見栄えの良いバナー画像にすることで、よりアピールできるはず(クリックを誘発できるはず)、と考えがちです。

ところが、様々なプロジェクトでユーザビリティテストを実施してみると、せっかく労力をかけて作ったリンクバナーが、ユーザーにまったく見られないケースが多いことに気づかされます。私自身の体感上の経験値からもそう言えますし、アイトラッキング調査によって客観的なデータを集めた結果でも、おおよそこの傾向が見られます(バナー画像部分には、ユーザーの目線はほとんどと言ってよいほど滞留せず、文字通り「素通り」どころか「かすりもしない」ことが実に多いのです)。

なぜこのような、バナーブラインドネスが生じてしまうのでしょうか?昨今のWebユーザーにとって、バナー画像は、ただバナー画像であるというだけで「自分と無関係な広告」だと解釈(誤解?)されてしまうことが多いからです。Webの黎明期ではバナー広告が盛んに使われていましたが、それに対するユーザー側の経験(その多くはネガティブなもの)の蓄積が、このような結果を招いてしまったのかもしれません。

解決の手立てとしては、以下が考えられます。

  • リンク先の内容をコンパクトにまとめた(かつユーザーが思い描くキーワードを盛り込んだ)テキストリンクを用意すること
  • (視覚的なアクセントがデザイン上欲しい場合は)アイキャッチャーとなる画像とテキストリンクの組み合わせを並べて配置すること

実際、バナーによるリンクをやめて、テキスト中心のリンクに変更したところ、ユーザーの目に留まる頻度が格段に向上しました。目に留まりさえすれば、あとはユーザーのニーズにマッチすればクリックされるでしょうから、より効果的で魅力的なテキスト表現を試行錯誤することで、クリック率の向上が期待できると思います。