モバイルデバイスにおけるサイトとアプリの連携性
モバイルデバイス (スマートフォンやタブレット) では、ある目的を達成する手段として、「サイト」と「アプリ」という複数の手段が提供されていることが少なくありません。ユーザーの好みに応じて、どちらの手段を使ってもよい...というのは、ユーザーにとってウェルカムなことだと思います。
ただ、サイトとアプリの連携性については、どうなんだろう…と考えさせられることがありました。
Amazon における個人的なある体験
私は Amazon でよく買い物をしますが、普段は iPhone の Amazon アプリを使っています。買いたい物を家族と相談する際、アプリには「シェアする」という機能があるので、メールやメッセージでその商品の URL を家族に送ることができます。
その URL を見た家族から、ある日、逆提案として別の商品の URL がメール (メッセージ) で送られてきました。私はそれを Amazon のウィッシュリスト (ほしい物リスト) に加えようとしてURL をタップしますが、(当然のことではありますが) ブラウザが立ち上がり、Amazon サイトの当該商品ページが開きます。私は普段、Amazon の「サイト」では買い物をしないので、ログイン状態ではありません (ゲストとしてアクセスしている状態になります)。
この商品を自分の Amazon アカウントのウィッシュリストに加えるには、Amazon の「サイト」でログインする必要がありますが、正直面倒です。セキュリティを考えてパスワードを「1Password」という別アプリで管理していることもあり、ログインするにも若干手間がかかるのです。どうしようなあ…と迷った挙句、結局「アプリ」を立ち上げ、わざわざ品名検索をしてその商品詳細を表示し、ウィッシュリストに追加しました。
これが合理的な判断だったかはわかりません (むしろ「サイト」でログインすることを選択したほうが合理的だったかもしれません)。ここで注目したいのは、一連のユーザー体験において「面倒だと感じた」「どう行動しようか迷った (余計に、考えさせられてしまった)」「そのときの感情で合理的でないかもしれない選択をしてしまった」...というネガティブな要素が内在していることです。
シームレスにアプリが使えるとよい
この体験から感じたのは、Web サイトと同等のユーザーエクスペリエンス (UX) をアプリでも提供しているサービスでは、できるだけシームレスにアプリを使えるようにしたほうがよいのではないか、ということです。上述の Amazon の例で言えば、メール (メッセージ) に記述されている URL をタップすると、アプリをインストール済みのデバイスであれば、ブラウザの代わりにアプリが起動して (既にアプリでログイン済みなら、ログイン状態が保持された形で) 当該コンテンツを開くことができれば、より便利と言えるでしょう。
同様の問題は、他のアプリにも見られます。メジャーな例として、宿泊予約サービスの「じゃらん」「楽天トラベル」、グルメ検索サービスの「ぐるなび」「食べログ」のアプリをインストールして試してみましたが (iOS および Android)、いずれも、特定の施設 (ホテルやレストラン) の URL からアプリを起動する (アプリ内で特定の施設情報を開く) ことはできませんでした。
技術的には簡単ではないのかもしれませんが、アプリの利用はアプリの中だけで閉じてしまうのではなく、Web というエコシステムの中でも、アプリ内コンテンツがスムーズに利用できて欲しいと思います。たとえば、「AppURL」のようなプロジェクトもありますが、このようなトライアルが、ひとつの解になるのでしょうか (なったらいいな、と期待したいと思います)。