W3C WAI による「Web Accessibility Perspectives Videos (ウェブアクセシビリティの観点からの動画)」
W3C の WAI (Web Accessibility Initiative) が、「Web Accessibility Perspectives Videos (ウェブアクセシビリティの観点からの動画)」を公開しています。以前からあったかもしれませんが、アクセシビリティの教材としてとても優れたコンテンツなので、ご紹介したいと思います。
動画のラインナップとしては、以下の10本が用意されています。いずれも1分程度の短い尺なので、アクセシビリティに関する作業やトレーニングのちょっとした時間に、気軽に視聴することができます。
- Keyboard Compatibility (キーボード操作の互換性)
- Colors with Good Contrast (コントラストに優れた配色)
- Clear Layout and Design (明快なレイアウト/視覚デザイン)
- Text to Speech (テキストの音声読み上げ)
- Large Links, Buttons, and Controls (大きなリンク/ボタン/コントロール)
- Video Captions (動画のキャプション)
- Customizable Text (カスタマイズ可能なテキスト)
- Speech Recognition (音声認識)
- Understandable Content (理解可能なコンテンツ)
- Notifications and Feedback (通知およびフィードバック)
これらの動画は (W3C WAI が制作しているだけあって) 当然、アクセシブルにできています。情報保障も、以下のように完備されています。
- クローズドキャプション (Closed Caption / CC) : ナレーションや登場人物の発話を字幕として提示する。
- 音声解説 (Audio Description) : ナレーションや登場人物の発話ではなく、映像によって伝達される内容を、音声で (さらには字幕でも) 提示する。
- トランスクリプト (Transcript) : ナレーションや登場人物の発話内容を俯瞰しやすいようにテキストで提示する。再生中は音声に同期してテキストがハイライトされる。また、音声解説を有効にしている場合は、音声解説の内容もテキスト表示される。
なお英語が苦手な方は、動画プレーヤーで再生速度を落として聞き取りやすくすることもできますし、またページの下方にはトランスクリプト (ナレーション、映像内容の音声解説、の両方) の全文がテキストで記述されているので、日本語に機械翻訳して読むこともできます。あるいは各動画を YouTube で開き、YouTube のクローズドキャプション (CC) 自動翻訳機能を有効にして日本語字幕を表示させながら見ることもできます。
「Web Accessibility Perspectives Videos」に収録されている各動画は、ウェブアクセシビリティに関してユーザーが直面する困難やそれに対するソリューションを簡単に学べる入門教材として、特に初学者向けの研修や勉強会などで大いに活用できそうです。また、動画コンテンツの情報保証 (クローズドキャプション、音声解説、トランスクリプト) のベストプラクティス例として、プロジェクト関係者と共有し参考にするのもよいでしょう。