ARIA Authoring Practices Guide (APG) に支援技術のサポート状況が掲載

WAI-ARIA を用いたウェブコンテンツ制作のガイドとして、W3C が ARIA Authoring Practices Guide (以下、APG) ※1 というサイトを公開しています。

※1 : もともとは WAI-ARIA Authoring Practices というドキュメントでしたが、2020年5月19日付で APG にリニューアルされています。

この APG は、「Patterns」と「Practices」というふたつのセクションをフィーチャーしていますが :

Patterns
WAI-ARIA を用いて作ることができるアクセシブルな UI コンポーネントのパターン (たとえば、アコーディオン、アラートメッセージ、カルーセル、モーダルダイアログ、タブ、など) を解説しています。各パターンは、概要 (About This Pattern)、実装例 (Example)、キーボード操作の説明 (Keyboard Interaction)、適用されるステート/ロール/プロパティの説明 (WAI-ARIA Roles, States, and Properties)、という構成になっています。
Practices
WAI-ARIA を用いて様々な UI コンポーネントをアクセシブルにするうえでの横断的に押さえておきたいプラクティス (たとえば、ランドマーク、アクセシブルな名前、キーボード操作の担保、など) を解説しています 。

このうち「Patterns」にて紹介されている UI コンポーネントパターンの「Example (実装例)」において、主要な支援技術のサポート状況が掲載されるようになったというアナウンスが、このほど W3C よりありました。

本記事執筆時点ではごく一部ですが、下記の「Example(s)」において「Assistive Technology Support」というセクションが追加されています。支援技術 (スクリーンリーダー) とブラウザの組み合わせがテーブルで示されていて、組み合わせごとに、サポート状況がどのくらいなのかを見ることができます。

現段階ではデスクトップ用スクリーンリーダー (JAWS、NVDA、Mac VoiceOver) のみですが、上記以外の「Examples (s)」においてもサポート状況が順次追加されたうえで、2024年には、モバイル用スクリーンリーダーによる検証も計画されてゆくそうです。iOS VoiceOver や Android TalkBack を含め、様々な支援技術のサポート状況が確認できるようになることを、期待したいところです。

似た情報発信としては、Accessibility Support というウェブサイトが既にありますが (記事「Accessibility Support (a11ysupport.io)」ご参照)、こちらのほうは個々の HTML 要素 および ARIA 属性に対する支援技術サポートを知ることができるのに対し、APG のほうは特定の UI コンポーネント実装に対する支援技術サポートを知ることができる、という違いがあるので、今後も併せて活用できるかと思います。

日本語環境においては、スクリーンリーダーの日本語での読み上げ確認など、実際の支援技術を用いた挙動検証が最終的には必要ではありますが、実装検討時の目安としては参考になるので、このような支援技術のサポート状況が共有されるのは、とてもありがたいことだと思います。