The WebAIM Million (100万のホームページに対するアクセシビリティ自動検証) : 2026年の調査
ウェブアクセシビリティ向上のために活動している米国の非営利団体 WebAIM が定期的に実施している「The WebAIM Million」という調査があります。Tranco ランキング を基にメジャーどころの100万ウェブサイトを抽出し、各サイトのホームページに対してウェブアクセシビリティ検証ツール「WAVE」のエンジンを用いて自動検証を行ない、定量的に傾向を分析するというものです。
今回、その第8回となる調査が、2026年2月に行なわれました。調査結果の詳細は WebAIM サイトの「The WebAIM Million - The 2026 report on the accessibility of the top 1,000,000 home pages」でご覧いただけますが、以下、抜粋してご紹介します。
全体的なエラー件数
100万ホームページでトータル56,114,377件のエラー、つまり1ホームページあたり平均で56件のエラーが検出されています。前回調査の50,960,288件 (1ホームページあたり平均で51件) に比べて1割ほど増加していることになります。
なお、ここで言うエラーとは、ウェブアクセシビリティ検証ツール「WAVE」が判定する「Errors」のことですが、エンドユーザーに与える影響が顕著で、WCAG 2 達成基準 (レベル A および AA) への不適合である可能性が極めて高いものとなります。
WCAG への不適合
95.9%のホームページで、何らかの WCAG への不適合が検出されています。2022年が96.8%、2023年が96.3%、2024年が95.9%、2025年が94.8% ... とここ数年続いてきた減少傾向に歯止めがかかってしまったような結果となっています。この数値はあくまでも「WAVE」による自動検証によるものなので、人間の評価者による手動検証を加えると、不適合の検出はさらに増える可能性があります。いずれにしても、ほぼすべてのホームページで WCAG 2 達成基準への不適合が見られるという状況です。
WCAG 不適合の種類ごとに見てみると、主だったものとしては以下の通りです。いずれもアクセシビリティ要件として基本的なものばかりですが、検出された不適合のほぼすべて (96%) が下記の6種類のいずれかに該当しており、逆に言うとこれらの基本がしっかりできてさえいれば、アクセシビリティは劇的に改善されると言えるでしょう。
| WCAG 不適合の種類 | 2026年 | 2025年 | 2024年 | 2023年 | 2022年 |
|---|---|---|---|---|---|
| 低コントラストのテキスト | 83.9% | 79.1% | 81.0% | 83.6% | 83.9% |
| 画像の代替テキスト不備 | 53.1% | 55.5% | 54.5% | 58.2% | 55.4% |
| フォーム入力要素のラベル不備 | 51.0% | 48.2% | 48.6% | 45.9% | 46.1% |
| 空のリンクラベル | 46.3% | 45.4% | 44.6% | 50.1% | 49.7% |
| 空のボタンラベル | 30.6% | 29.6% | 28.2% | 27.5% | 27.2% |
| ページ全体の lang 設定不備 | 13.5% | 15.8% | 17.1% | 18.6% | 22.3% |
傾向としては、低コントラストのテキストが検出されるホームページが突出して多く (およそ8割)、画像の代替テキストの不備、フォーム入力要素のラベル不備、が続く格好です (いずれも、およそ5割)。また、空のボタンラベルが検出されるホームページが増加傾向にあるのも気になるところで、インタラクションのデザインがビジュアルに偏重している可能性が窺えます。
テキストのコントラスト
上のテーブルが示すとおり、84%のホームページで、WCAG が規定する最低限のコントラスト要件を満たさないテキストが見られます。この問題が検出されるホームページはここ数年、減少傾向にあったのですが、今回調査で再び高い数値に戻ってしまっています。依然としてこれは、もっともよく見られるアクセシビリティの問題と言えます。
なお、検出された低コントラストのテキストのインスタンス数の、1ページあたりの平均は34という結果になっています (2025年調査の29.6に比べて15%増)。
画像および代替テキスト
上のテーブルが示すとおり、53%のホームページで、画像の代替テキスト不備が見られます。
なお今回の調査対象では合わせて6,660万 (1ホームページあたり平均で66.6) の画像が検出され、このうち16.2%に代替テキストの不備 (alt 属性の欠落) が見られるという結果になっています。このうち45%はリンク画像で、これはリンク画像の総数の1/4にのぼるようです。
一方、代替テキストがある (alt 属性がある) 画像のうち10.8%は、その内容に問題が見られるという結果になっています (単に「画像」と書いてあったり、ファイル名だったり、隣接するテキストと重複する内容だったり、など)。
総じて言うと、検出された画像の1/4が、代替テキストに関する問題を抱えている (alt 属性が欠落している、または alt 属性の記述が適切でない) ことになります。
フォーム入力要素のラベル
上のテーブルが示すとおり、51%のホームページで、フォーム入力要素のラベル不備が見られます。
なお今回の調査対象では合わせて690万 (1ホームページあたり平均で6.9) のフォーム入力要素が検出され、このうち33.1%にラベルの不備が見られる (<label> 要素、aria-label 属性、aria-labelledby 属性、title 属性のいずれも実装されていない) という結果になっています。
見出し
今回の調査対象では合わせて3,000万ほど (1ホームページあたり平均で29.9) の見出し (<h1> - <h6>) が検出されています。
なお、複数の <h1> 要素が存在するホームページの割合は18.1% (2025年調査の16.3%より増加)、見出しレベルのスキップ (例 : <h2> の次は <h3> ではなく <h4> といった具合) が見られるホームページの割合は41.8% (2025年調査の39%より増加)、見出しがひとつもないホームページの割合は7.5% (2025年調査の9.8%より現象)、という結果になっています。
ARIA
今回の調査対象では合わせて133,589,803の ARIA 属性が検出されており、平均して1ホームページあたり133もの ARIA 属性が存在することになります。これは対前年比で27%の増加、2019年と比べると約6倍という結果です。
なお、ARIA 属性 (ランドマークを除く) が用いられているホームページの割合は82.7%です (2025年調査の79.4%より増加)。これら ARIA 属性が存在するホームページでは平均で59.1件のエラーが検出されており、そうでないホームページ (平均で42件のエラー) と比べて明らかに多い傾向が見られれます。
曖昧なリンクテキスト
今回の調査では、15.2%のホームページで、曖昧なリンクテキスト ("click here" や "more" など) が見られました (2025年調査の13.7%より増加)。なお、これらのページでは、1ページあたりに見られる曖昧なリンクテキストのインスタンス数が平均で5.3にのぼります (2025年調査の6.8より減少)。
その他
その他、以下の興味深い結果も見られました。
- 100万ホームページのトータルで、14億を超える HTML 要素が検出されています (1ホームページあたり平均で1,437個の要素)。これは1年間で22.5%の増加で、2019年の調査開始依頼、過去7年間でほぼ倍増していることになります。
- 84.3%のホームページで、1つ以上のランドマークを実装しています (2025年調査の80.5%より増加)。ただし「メイン」ランドマーク (
<main>またはrole="main") を持つホームページは46.1%にとどまっています。 - 17.1%のホームページで、いわゆる「スキップリンク」を実装しています (2025年調査の15.3%より増加)。
- 9.6%のホームページで ReCAPTCHA が導入されていますが、これらのページでは平均よりも7.7件、エラーが多く検出されています。
- 6.2%のホームページで YouTube 動画が埋め込まれていますが、これらのページでは平均よりも 9.4件、エラーが多く検出されています。
以上です。今回の調査では、エラーの総数だけでなく、エラーが検出されたホームページの割合も、2025年調査より増加したという結果となっています。WebAIM の考察にもありますが、ホームページあたりの HTML 要素の数、さらには ARIA の使用の著しい増加などから推察するに、インタラクションの複雑化 (それに伴うアクセシブルなコーディングの難しさ) が大きな要因になっているのかもしれません。また昨今では、バイブコーディングのように生成 AI で手早くウェブアプリケーションを作るトレンドも見られ、こうした手法もアクセシビリティの低下に影響している可能性がありそうです。いずれにしても、基本的なアクセシビリティが依然としてほとんどのホームページで満たされていないことは大きな課題であり、デザインシステムをはじめとする制作過程の標準化を含め、改善の余地が多く残されていると言えるでしょう。