Webサイト設計の「5つの段階」
以前、このサイトの記事「Webデザインとは、情報をデザインすること」で、以下のようなことを述べました。
- 「美しさ」「かっこよさ」あるいは逆に「(意図的な)かっこ悪さ」といった見える部分は、デザインにおける氷山のてっぺんに過ぎず、「なぜ美しく見せるの?」「どうかっこよく演出するの?」「この変な形を見て誰にウケてもらいたいの?」といったバックグラウンド(企画意図や設計思想)も含めて、「デザイン」である。
- Webサイト(ホームページ)の多くは「目的」ではなく「手段」であり、単に「きれいに」「かっこよく」「かわいく」見た目をデザインするだけでは機能を果たさない(せっかくコストをかけて作っても、ビジネスに貢献してくれない)。
つまり、Webサイト(ページ)を作るにあたっては、いきなりビジュアルデザイン(視覚的なデザイン)から始めるのではなく、事前の準備(コンセプトワークを含むプランニング)が必要なわけです。その概念をわかりやすく示した図があるので、ご紹介したいと思います。
Adaptive PathというアメリカのWebコンサル会社の創設者の一人である、IA(Information Architect:インフォメーションアーキテクト)のJesse James Garrett(ジェシー・ジェームス・ギャレット)氏による、"The Elements of User Experience"がそれです。彼の個人サイトからPDF形式でダウンロードできます。
(著作権上の問題があるので、ここでは図を掲載しません。興味のある方はご自身でダウンロードしてください。)
この図によると、ユーザーエクスペリエンスを高めるためのWebサイト設計の段階として、以下の5つの層が挙げられています。上の層ほどConcrete(具体的)/Completion(完成)で、下の層ほどAbstract(抽象的)/Conception(概念)になりますが、Jesse James Garrette氏は、Webサイト構築のプロセスは下から上に進むべきであると唱えています。
- Visual Design(視覚的なデザイン)
- Information Design(インターフェースやナビゲーションといった情報デザイン)
- Interaction Design/Information Architecture(インタラクションのデザイン/情報の構造)
- Functional Specifications/Content Requirements(機能仕様/コンテンツの要件)
- User Needs/Site Objectives(ユーザーのニーズ/サイトの目的)
「ターゲットユーザー像を明確にしてユーザーのニーズ(シナリオ)を検討する」「サイトの目的をクリアにする」という工程は、頭ではわかっているつもりでも、実際にはきちんとできていないケースが多いと思います。しかし、ユーザビリティに優れたWebサイトというのは、こうした「上流工程」にも手を抜いていないものです。改めて、事前の準備(コンセプトワークを含むプランニング)の大切さを確認しておきたいものですね。