XR Accessibility User Requirements (W3C Working Group Note)

W3C が、XR のアクセシビリティについて、ユーザー要求 (user requirements) をまとめ、ドキュメントを公開しています。

XR とは、VR (virtual reality : 仮想現実)、AR (augmented reality : 拡張現実)、MR (mixed reality : 複合現実) の総称です。本ドキュメントは、こうした没入型環境のインタラクションにおいて、アクセシビリティを担保するにはどうすればよいかを、ユーザー調査をもとに整理したものです。

およそ1年半前、本ドキュメントの First Public Working Draft を紹介する記事を書きましたが、それがこのたび、最終的に Working Group Note としてリリースされた形になります。

XR のアクセシビリティを担保するためには、多くの検討すべき課題があります。たとえば、特定の入力モダリティ (音声、キーボード、スイッチ、ジェスチャ、アイトラッキング ... による情報インプット) や出力モダリティ (触覚的、視覚的、聴覚的 ... な情報アウトプット) の使用が困難なユーザーの支援、モーション (体の動きの大きさや精緻さ) および位置取り (立ったり座ったり) に制約があるユーザーの支援、没入型環境におけるコンテキスト把握や認知上の困難に対する支援、などです。

本ドキュメントでは「4. XR User Needs and Requirements」のセクションにて、こうした課題をあまねくカバーする形で、以下のように19の具体的なケースが提示されています。各ケースは、ユーザーニーズ (User Need) と、そのニーズを満たすための要件 (REQ)、という構成でまとめられています。


上に挙げた各ケースは、今後ますます XR のユーザー体験 (UX) に関する知見が成熟する中でアップデートされてゆく可能性がありますが、本ドキュメントは、現時点における VR、AR、MR に求められるアクセシビリティ要件を理解するのに、コンパクトで俯瞰しやすく参考になるでしょう。XR のコンテンツ開発に関わる方には、ぜひ一度、本ドキュメントの原文をお読みいただき、インクルーシブな XR の具現化に向けて模索いただけたらと思います。