別ウィンドウを開くことの是非

(2012年1月28日追記)

この記事内容をアップデートした記事を、別途公開しました。「別ウィンドウを開くことの是非 (その2)」をご参照ください。

Webサイトを制作していると、<a href="xxx" target="_blank"> などとマークアップして、リンク先ページを別ウィンドウを開くようにしたいと思うことがあるでしょう。たとえば、以下のようなケースです。

お気持ちはよくわかるのですが、ユーザビリティアクセシビリティの観点で考えると、リンクは別ウィンドウを開くべきではないと考えます。理由は、以下の通りです。

  • 初心者ユーザーやシニアユーザーは、別ウィンドウで開いたことに気づかないことが多い。特にブラウザを最大化表示している場合、ウィンドウが完全に重なった状態 (元ページが完全に隠れた状態) になってしまい、かつ、前面に出ている (別ウィンドウとして表示された) ブラウザ画面では [戻る] ボタンがグレーアウトしているので、ユーザーは「前のページに戻れない」と戸惑ってしまう。
  • 視覚などの障害や手指の怪我などでマウスが使えない (キーボードを使って操作する) 場合、別ウィンドウとして開いたページから元ページに戻ろうとすると、結構面倒である ([Alt] + [Tab] キーを必要な回数だけ押して、アクティブにするウィンドウを順番に切り替えるが、ブラウザ以外のアプリケーションが開いている場合はそれらもアクティブにする順番として含まれるので、スムーズにウィンドウが切り替えられなかったり、ユーザーに余計な記憶負荷/認知負荷をかけることにつながる)。

ちなみに、多くのユーザーは、ブラウザの [戻る] ボタンを頻繁に使います。リンクによって何度かページを切り替えて、複数ページ分戻りたいケースでも、たいがいは [戻る] ボタンを繰り返し押すことで解決しています。その一方で、別ウィンドウで開きたいとユーザー自身が思ったときは、自分でそうします (最近のモダンブラウザでは、「新規ウィンドウ」で開くか「新規タブ」で開くかまで選択できますね)。その意味では、リンクを別ウィンドウで開くかどうかは、ユーザー側に選択権を与えるべきだと思います。

ちなみに、<a> 要素の target 属性は、HTML 4 Transitional で非推奨となっており、HTML 4 Strict、XHTML 1.0 Strict および XHTML 1.1 では完全に抹消されています。

極力、別ウィンドウを開かなくてもすむユーザーインターフェース設計を考えたいものですね。